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東京都千代田区「日比谷公会堂」にてドローン赤外線による外壁調査の実施報告

東京都千代田区にある「日比谷公会堂」において、建築基準法第12条の規定に基づく定期調査として、外壁タイルの劣化状況を全面的に点検しました。

調査にあたっては、ドローンに搭載した赤外線カメラを主軸とし、地上からの打診調査および目視調査を組み合わせた複合的な手法で実施しています。

日比谷公会堂は1929年竣工の歴史的建築物であり、長年にわたり多くの方々に親しまれている建物です。

今回の調査では、建築基準法第12条に基づく外壁調査として、

  • ドローン赤外線調査
  • 目視調査
  • 打診調査

を併用し、外壁面の劣化状況の確認を行いました。

日比谷公会堂
日比谷公会堂

調査実施体制(人数構成)

役割人数
主任技術者(調査責任者)1名
赤外線調査者1名
ドローン操縦者1名
ドローン操縦補助者1名
地上からの目視・打診調査員2名
安全誘導員1名
合計7名

ドローン赤外線調査による外壁の確認

外壁の劣化調査といえば、従来は足場を組んだり、ゴンドラを利用して作業員が直接確認する方法が一般的でした。しかし近年、ドローンと赤外線カメラを組み合わせた調査手法が普及しつつあり、特に以下のような場面で大きな優位性を発揮します。

足場なしで高層部まで全面点検できる

ドローンは建物周囲を飛行しながら、高層階も含めた外壁面を上から下まで隈なく調査できます。今回の日比谷公会堂のような6階建て以上の大規模建物では、足場架設にかかるコストと工期が相当なものになりますが、ドローン調査ではその必要がありません。

非接触で広い面積を効率的に記録できる

赤外線カメラは、外壁タイルの表面温度を映像化(データとして残る)することで「浮き」の疑いがある箇所を非接触で検出します。太陽の放射熱によって温められた外壁では、健全な部分と浮きが生じている部分とで表面温度にわずかな差が生まれます。この温度差を赤外線画像として記録し、後から専用の解析ソフトで精密に解析します。
※但し、浮き以外の原因でも表面温度に差がでますためそこは現場の撮影者および解析時に担当者が注意をし解析していきます。

範囲が大きい外壁面であっても短時間で記録・解析できるため、調査の効率と客観性が大幅に向上します。

周辺環境や利用者への影響が少ない

日比谷公会堂のような公共施設や都市部の建物では、長期間の足場設置や大規模な工事車両の搬入が難しいケースも少なくありません。ドローン調査は飛行エリアの安全管理を徹底したうえで実施でき、周辺の交通や施設利用への影響を最小限に抑えることができます。



歴史的建築物に配慮した調査計画

歴史的建築物の外壁調査では、

  • 建物意匠への配慮
  • 周辺環境への安全対策
  • ドローン飛行計画
  • 気象条件の確認
  • 第三者災害防止

など、通常の建物以上により慎重な調査計画が求められます。

一般財団法人 日本耐震診断協会では、建物用途や周辺環境に応じて、安全性と調査精度の両立を重視した調査を行っております。

ドローン外壁調査

樹脂キャップ仕上げのアンカーピンによる補修跡

打診調査・目視調査との併用について

ドローン赤外線調査は非常に有効な手法ですが、それだけで外壁の状態をすべて把握できるわけではありません。たとえば、北面や日影になりやすい箇所では日射による温度差が生じにくく、赤外線での検出精度が落ちることがあります。また、ひび割れやエフロレッセンス(白華現象)、シーリング材の劣化といった損傷は赤外線では判別できません。

そのため今回の調査では、以下の三手法を組み合わせています。

① ドローン赤外線調査 外壁全面を対象に、タイルの浮きが疑われる箇所を非接触で広範囲に記録。

② 打診調査 地上から手の届く範囲について、2mの打診棒を使って直接タイルを叩き、音の変化から浮きの有無を確認。赤外線調査の結果を補完・検証する役割も担います。

③ 目視調査 双眼鏡を使い、ひび割れ・欠損・白華現象など赤外線では捉えられない損傷を全面的に確認。

この三手法の組み合わせが、建築基準法第12条に基づく定期調査として求められる精度と信頼性を担保しています。

※やはり人が打診棒を使用して点検をする 「打診調査」が精度が高いです。そこは調査目的に応じて調査方法を併用しコストとのバランスをはかっております。


建物の維持保全において外壁調査は重要です

外壁タイルや仕上げ材は、経年劣化により、

  • 浮き
  • ひび割れ
  • 欠損

等がどうしても発生します。
上記劣化が進行すると、雨水の侵入、漏水、躯体劣化と劣化が広がっていきます。

打診調査で浮き箇所の確認

特に劣化の進行が速い雨掛かり部分の外壁仕上げは、早期発見・早期対応が重要となります。

一般財団法人 日本耐震診断協会が手がける建物診断について

一般財団法人 日本耐震診断協会(JSDA)は、一級建築士事務所として、耐震診断業務以外にも主に以下の建物診断・調査業務に取り組んでいます。

建築基準法第12条に基づく定期調査(12条点検)

特定建築物(一定規模以上の建物)は、建築基準法の規定により定期的に建物の状態を調査し、特定行政庁に報告する義務があります。JSDAでは、技術者が外壁を含む建物全体の診断を実施しています。

今回の日比谷公会堂の調査も、この12条点検の一環として実施したものです。

大規模修繕工事に係る診断・調査

マンションや商業施設などの大規模修繕工事を適切に進めるには、まず建物の現状を正確に把握することが不可欠です。JSDAでは、工事前の外壁診断・劣化調査を実施し、修繕が本当に必要な箇所・範囲・優先度を客観的なデータとして提供します。

ドローン赤外線調査は、この大規模修繕前の診断においても有効になる場合もあります。足場を組む前に外壁全面の状態を把握することで、無駄のない修繕計画の立案に貢献できます。ただし、大規模修繕工事前は正確数量の把握が必要なため、ロープアクセス工法による調査をおすすめさせて頂いております。
修繕箇所が明確になれば、工事費の見積もり精度も上がり、管理組合や施設オーナーにとっての判断材料が整います。


おわりに

歴史的建造物から現代の集合住宅まで、外壁の劣化は年月とともに進行します。定期的な診断と早期対応が、建物の長寿命化と安全確保につながります。

一般財団法人 日本耐震診断協会は、12条点検・大規模修繕前の外壁診断を通じて、建物とそこに関わるすべての方々の安全を支えることを使命としています。


一般財団法人 日本耐震診断協会
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