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耐震診断の流れ

予備調査 一次調査 二次調査 二次調査 精密調査

予備調査(下見調査)として建物の設計図書(一般図・構造図)の有無の確認、建物の概要(延床面積・階高・竣工年など)、建物の構造種別(RC造・S造・SRC造など)、建物の架構(ラーメン構造・壁式など)、増改築の履歴の有無、建築確認通知書の存在の有無、検査済証の有無などを事前に把握する必要があります。
これらの事をふまえて耐震診断の概算見積書を作成する事が可能となります。
しかし正式な見積書をお出しする際には現地にて建物を確認する必要があります。

耐震診断の実施が決まり契約を取り交わし初めて耐震診断がスタートします。
耐震診断の現地調査は、耐震診断を行う建物の履歴および現状を把握するために、現地調査・実測・各種試験(コンクリート試験・超音波探傷試験など)を行って、耐震診断に必要な形状指標・経年指標・材料強度・部材断面などの諸数値を反映させるとともに、耐震診断結果の総合的な評価資料を作成するために実施します。

耐震診断を行うために必要な建物の調査は、図面の有無、建物の規模、用途、調査の可否などを考慮し、診断レベルに応じて診断者が適切に設定いたします。


調査内容詳細

予備調査
(1)目的
予備調査は、調査の対象となる建築物の概要を把握し、基準の適用の可否、現地調査及び耐震診断で必要になる情報および資料を収集することを目的として行います。
(2)予備調査の調査項目
予備調査の調査事項は下記について調査を行います。
(a)建築物の概要
建物の名称、所在地、現在の用途、設計者、施工者、工事管理者および竣工年(設計年)を調べる。さらに、建物の概略的な規模を把握するために、階数、高さ、主体構造の構造種別と構造形式、基礎形式、面積、階高、平面および立面形状の特徴、主な外装・内装、敷地の地盤・地形などを可能な範囲で調べます。竣工年(設計年)から、昭和46年(施工令改正・帯筋の強化)以前、昭和46年以後から昭和56年(施工令改正・新耐震設計法)以前、昭和56年以降のいずれの年代に設計された建物かを分類することも耐震性能を把握する上では重要です。
(b)関係図書の有無
建築物の設計に関する記録(一般図、構造図、構造計算書、仕様書、設計変更図、地盤調査報告書)、などの有無を確認します。その他、何らかの機関ですでに調査した資料がある場合にはその資料なども確認させて頂きます。耐震診断を行うために最も重要な事は、構造図の有無です。
(c)建築物の履歴
主として聞き取り調査によって、建築物が設計あるいは竣工時からどのような経過を経てきたか、またどのような被災に遭遇して現在に至っているかを聞き取りさせて頂きます。現在の使用状況、増改築の有無と増改築の範囲および時期を確認させて頂きます。
(d)現地調査の可否
後述する1次調査・2次調査および精密調査は、現地調査を行うことを原則としていますのでご依頼者に現地調査の支障の有無を確認いたします。
1次調査
一次調査における調査・試験は、主に第1次診断による構造耐震指標の算定で必要となる以下の項目などについて調査します。
(1)構造部材の耐力を算定するために必要な材料強度、断面寸法
(2)経年指標に反映する建物の変形・コンクリートのひびわれ
(3)形状指標に反映する建物の形状
(1)履歴調査
予備調査の内容を現地で確認します。
(2)外観調査
建物の内外に見られるひびわれ、鉄筋などの腐食状況を目視などにより調査し、立面的にスケッチします。たわみ、柱の傾斜、不動沈下などを状況に応じて実測します。また、必用に応じて写真撮影を行います。
(3)コンクリート強度の調査
1次調査では、コンクリートの強度試験は通常行いません。コンクリートの設計基準強度が不明の場合は、竣工年度から推定します。ただし、昭和28年以前に竣工した建物で設計図書がない場合や劣化状況が著しい建物、あるいは圧縮強度試験結果からコンクリート強度を設定する場合などには、第1次診断であっても、コンクリートコアの圧縮試験を行って、強度指数に反映させます。
 竣工年度 コンクリート強度の推定値(N/m㎡)
昭和28年以前 Fc=13.5
昭和29~33年 Fc=15.0
昭和34~44年 Fc=18.0
昭和45年以降 Fc=21.0
(4)現況と設計図書との比較
用途変更の個所やRC壁の撤去個所などがないかを原設計図書と照合します。とくに、雑壁(そで壁、たれ壁、間仕切壁など)や2次部材は撤去や新設がされやすいので、注意して調査を行います。また、耐震壁と開口位置の調査は、診断結果に大きく影響するため入念に行います。
2次調査
2次調査は、第2次診断法または第3次診断法による構造耐震指標の算定で必要となる以下の項目などについて調査します。
(1)構造部材の耐力を算定するために必要な材料強度、断面寸法
(2)構造きれつ及び変形の発生程度とその範囲
(3)変質・老朽化の程度とその範囲
2次調査は、調査担当者が現地建物を原則として仕上材の上から目視または簡単な寸法実測により実施します。ただし、きれつ状況、老朽化の程度によっては、必用に応じて仕上材の一部を取りはずした調査を行う必要があります。
2次調査では、1次調査の内容に加えてより詳細な調査を行います。建物が構造上いくつかのブロック(建物平面形状がL型あるいはT型をしており診断計算上いくつかのブロックにわけて計算を行う場合など)、に分かれている場合は、ブロックごとに履歴・外観調査を行い整理します。主な調査の要点は次のとおりですが、2次調査においても、精密調査の項目であるコンクリートコア採取による試験を行います。
(1)ひび割れ調査
鉄筋コンクリート造建物は、健全なものでも、年数が経過すればある程度のひび割れは避けられません。目視観察の箇所としては、天井点検口、パイプスペースなどからの構造躯体コンクリート面を調査しますが、躯体を直接に観察できない場合には、仕上げ面から推察することになります。ひび割れは、多くの原因が複雑に重なって生じます。しかしながら、構造ひび割れ(せん断ひび割れ、曲げひび割れ)によるものか、変形(不同沈下など)によるものか、乾燥収縮、劣化によるものかは目視観察により判断します。調査結果はクラックスケール、目視などによりひび割れ幅、長さ、原因を想定し図面に記入します。補修歴のある建物には、補修時にひび割れ補修を行っているか否かを調査して適宜判断しますが、補強時に完全なひび割れ補修がなされており、新たにひび割れが生じていない場合は、ひび割れなしとします。構造体に重要な影響を与えるようなひび割れが多く観察された場合には、別途詳細なひび割れ調査を行う必要があります。
(2)不同沈下の調査
不同沈下によって生じるひび割れは、沈下の少ない部分から沈下の大きい部分に向かって斜め上方を指す方向に生じます。このことから、壁面に生じているひび割れパターンによってどの方向に大きく沈下しているかを推察することができます。また、サッシュの開閉や排水の具合が悪いなどの状況から推察されることもあります。不同沈下は、レベルなどにより相対沈下量を測定します。この場合、計測値から各階の変形傾向とか各階の沈下量の平均値を観るなどして建物全体としての変形を把握します。相対沈下量が1/500~1/200の場合には、主要部材のひび割れを考慮して判断します。因みに相対沈下量が1/200程度となると使用上の障害が生じると言われています。不同沈下が認められた場合沈下が進行性か否かの調査も重要です。進行性の場合には、追跡調査など別途検討が必要です。
(3)エキスパンションジョイントの調査
エキスパンションジョイント部は、設計上も所要の間隔(層間変形角として1/100程度)が確保されていないことが多いことや、設計上考慮されていても、一般に施工状況・精度が悪く、設計図書通りに施工されていない場合が多いです。したがって、詳細が設計図書に記載されていても現況の確認を必ず行います。また、補強時の改善も視野に入れてエキスパンションジョイント部の改善が行えるか否かも調査します。
(4)敷地内および周辺の自然環境の調査
(a)地盤種別
調査対象建物の敷地地盤が昭和55年建設省告示1793号による地盤の種別に該当するかを調査します。
 Ⅰ種地盤・・・良好な洪積地盤及び岩盤
 Ⅱ種地盤・・・Ⅰ種及びⅢ種地盤のいずれにも属さない洪積地盤及び沖積地盤
 Ⅲ種地盤・・・軟弱な沖積地盤
(b)がけ
敷地の周辺に擁壁やがけがあるか。あるとすれば敷地のどの位置にあり、それが高いか低いかを記載します。測定できればその高さを測定し、記入します。
(c)敷地状況
当該敷地が平坦地、傾斜地などの敷地状況を記載します。
精密調査
精密調査は、精度の高い診断や補強設計を行う場合にさらに正確に建物状況を把握する必要がある場合に、下記の項目などについて2次調査に加えて行います。
(1)コンクリートの材料強度、ヤング係数
(2)配筋状態と鉄筋断面、鉄筋の降伏点強度の確認
(3)施工状態、きれつ・欠損状態を考慮した部材断面性能の再評価
(4)コンクリート中性化・老朽化、鉄筋さびを考慮した材料強度の再評価
精密検査は、建物構造体からの供試体採取、仕上材の一部除去、コンクリートの局部的なはつり等によって、柱、梁、壁部材について実施します。
精密調査は第2次・第3次診断の精度を上げるために必要なデータ、たとえばコンクリート強度、鉄筋の降伏点強度・柱のせん断補強筋の形状等の現地調査による修正、追加を目的としており、同時に将来の補強対策のための資料にもなるものです。調査の手段としては、コアボーリング、鉄筋のはつり出し、仕上材除去等が考えられますが、いずれにしても補修を伴います。そのため、建物全体を隈なく実施するわけにはいきませんので、構造耐震指標算定者、調査責任者と十分協議して調査個所を選定するとともに、構造耐震指標算定者は要所要所で調査に立ち会って現況を確認する必要があります。
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