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文化遺産を守る! 弘前城の耐震補強開始

文化遺産を守る! 弘前城の耐震補強開始


日本のお城といえば姫路城のような天守閣があるお城が思い浮かぶかと思いますが、現存する日本最北の天守閣は、青森県の弘前城にあります。

桜の名所として有名な弘前城は現在、天守の足元の石垣が崩れる恐れがあるとして、大規模な修復工事が行われています。

その中でメインとなっているのは、天守そのものを持ち上げて移動させる「曳屋」(ひきや)と呼ばれる石垣工事です。
今回100年ぶりに行われる大規模な石垣の補修工事に合わせて、弘前城天守にも耐震工事が施されることになりました。


日本で最も北にある天守閣


現存する弘前城は、1811年に再建された2代目となっています。
初代は江戸時代の初期に建てられましたが、1627年に天守に保管してあった火薬が引火し、大爆発を起こして焼失してしまったのです。
江戸時代はお城を新築することが禁じられていたため、弘前城は長らく天守がない状態が続いていました。

しかし江戸時代後半に入るとロシア船が近海に現れるようになってきたため、弘前藩は「警備強化」を名目として弘前城天守の新築許可を幕府から取り付けます。
このとき築城されたのが現在の弘前城です。

明治に入ると弘前城は公園として公開され、桜が植えられるようになりました。
そして1949年には松前城の天守が焼失したため、弘前城は東北唯一にして日本最北の現存する天守となっているのです。


曳屋で石垣の大リフォーム中

曳屋で石垣の大リフォーム中


弘前城の曳屋リフォームは実は今回で2回目となっています。
明治中期に一度お城の石垣が大きく崩壊し、このままでは弘前城が倒壊する恐れがあるとして1897年から1915年にかけて天守を移動させ、石垣の補修工事を行ったのです。

しかし平成に入ると再び石垣に崩壊の兆しが確認され、天守も傾いてきていることが判明しました。

そのため100年ぶりに天守を移動させ、大規模な石垣の補修工事を行うことになったのです。
2015年10月下旬、弘前城は曳屋工事を完了し、約70m南へ移動しました。

再び天守が元の位置に戻るのは平成33年、そして全体の工事完了は平成35年の予定となっています。
今回の弘前城本丸石垣修理工事は、10年間にも渡る大規模なプロジェクトとなっているのです。


天守に耐震補強を入れる必要性


日本は世界でも稀に見る地震大国となっていますが、大工の知恵と技により、日本の古い建物には優れた耐震性が備わっています。
お城よりも古い歴史を持つ五重塔は地震で倒壊したことがなく、その耐震システムはスカイツリーにも応用されているほどなのです。

しかし、いかに優れた耐震性を持つ建物であっても、経年劣化だけは防ぎようがありません。
お城はもともと五重塔より耐震性では劣るので、経年劣化の影響は深刻となっています。

現在の弘前城は完成してから200年もの間、数々の自然災害に耐えてきました。
東日本大震災の際に弘前市は震度4程度で済みましたが、今後ふたたび大地震が起きないという保証はありません。
そしてそのときに弘前城が耐えられるという保証もどこにもないのです。

そこで今回の大修復では、弘前城にも耐震補強が施されることになりました。
内側から鉄骨を入れ、天守の強度を上げることで、弘前城の姿を後世に伝えていこうとしているのです。

南海トラフ地震をはじめ、北海道や青森県沖、茨城県沖など、さまざまな地域で巨大地震発生の可能性を秘めている日本。
お城をはじめとした歴史ある建築物に耐震補強を入れることは、日本の財産を守るために有効な手段となっているのです。


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