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宿泊客の安全を守るため 大分旅館・ホテル耐震化事情

宿泊客の安全を守るため 大分旅館・ホテル耐震化事情

平成27年7月23日。
大分県県議会では耐震化が義務付けられている一定規模以上の旅館・ホテルに対し、今年度から工事費用の補助率を引き上げて対応を進めていく方針を示しました。

大分県では旅館・ホテルの耐震化において延床面積5000平方メートル以上の施設を対象に、今年12月までの耐震診断が義務付けられています。

県内では10の施設が対象となっており、このうち8つの施設に対し、県は独自に5億円余りの予算を計上し、今年度から耐震工事費の補助率を3分の2に引き上げて対応していく方針を示したのです。

県議会の決定には、東日本大震災を契機とする耐震改修促進法の改正が深く係わっています。

本日はどのような事情のもと、大分県で宿泊施設耐震化の補助金が増額する事になったのかご紹介します。


宿泊客を守るはずの改正法が、宿泊施設を苦しめる


平成25年11月、建築物の耐震改修の促進に関する法律等の改正概要が施行されました。
これは先の大震災を受け、耐震強度の低い古い建物の安全性を高めるために時の政権が決めた取り組みです。

これにより、病院・店舗・旅館等の不特定多数の方が利用する建築物及び学校、老人ホーム等の避難に配慮を必要とする方が利用する建築物のうち大規模なものなどについて、耐震診断を行い報告することを義務付けし、その結果を公表することとなったのです。

国民の安全を第一に考慮しての法改正でした。ですが皮肉なことに、これによって改修工事費を捻出できなかった老舗旅館やホテルが次々と閉店に追い込まれることになってしまったのです。


圧し掛かる膨大な費用 耐震診断だけで数百万

宿泊客の安全を守るため 大分旅館・ホテル耐震化事情


宿泊施設は耐震診断を行い、国の定める基準に達しなければ改修をしなければなりません。
ですがその費用は、多くの旅館やホテルの収益では賄えないほどの額になります。

例えば、大分・別府温泉「○○○ホテル」では、耐震診断だけで800万円、耐震改修工事をすれば2億7千万円かかるといいます。


このような費用を負担できないため、やむなく閉業した旅館やホテルが増えたのです。
また、改修工事によって景観が損なわれたり、最大宿泊可能人数が減少したために収益が減ってしまった宿泊施設もあります。

それらの対策として、オーナー会社に建物・土地を所有してもらい耐震対策をまかせ、自らは賃料を支払って旅館運営に専念するという新しい形の運営を試みる宿泊施設もあらわれました。


動く県議会 国と力を合わせ人と土地を守る


国交省は改修費用の11・5%を補助すると言う制度をつくり、都道府県など地方自治体が独自の補助制度を設けた場合、国の補助率も引き上がり合わせて最大66・7%を補助する仕組みをつくりました。

ですが、九州地方では補助制度の新設がおくれ、旅館・ホテルは補修工事費用の大部分を自前で負担しなければならなかったのです。

そんな中でできたのが、今回の大分県の補助制度なのです。

大分を始め、九州には多くの温泉街があります。
古くから人々に愛されてきた観光の名所では今、国・県・民間が手を取り合い人と土地を守ろうとしているのです。


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