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【岐阜県】1981年以前の大規模建物の耐震補助率拡充

【岐阜県】1981年以前の大規模建物の耐震補助率拡充

多くの人が集まる旅館や病院などの施設は、大地震による被害が大きくなりやすく、早急な対策が必要です。

しかし、現実的にはなかなか耐震改修が進まず、国も自治体も頭を痛めています。

この状況を打開しようと立ち上がったのが岐阜県です。
今回は岐阜県の取り組みについてご紹介いたします。


耐震対策緊急促進事業の概要


2013年に国土交通省が開始した「耐震対策緊急促進事業」では、1981年以前に建築された現在の耐震基準を満たさない建物に対し、耐震診断費用の最大1/2、耐震改修費用の最大1/3を国が補助することとしています。
当初の計画では、3年間で計1万棟以上の耐震診断を行い、約1500棟の耐震改修を補助する予定でした。

しかし、実際に2015年8月までに補助金を利用した建物は「耐震診断が約1210棟」「耐震改修が約360棟」と計画を大幅に下回っています。


耐震改修が進まない理由


旅館などは多くの人が集まる大型建造物であり、これを耐震改修するには多額の費用が必要となります。
1/2や1/3の補助を受けても、自己負担が数千万円、数億円となる場合があり、これを渋った事業主はなかなか補助金の適用申請を行わないのが現状です。

また、都道府県によって補助金の上乗せを行うかどうかの対応が分かれたことも申請が伸び悩む原因となっています。
都道府県によって上乗せ補助があるところとないところが出てくれば、国が打ち出した対策にもかかわらず制度の恩恵に地域差が生じてしまいます。
旅館業界からはどの地域であっても平等に一律の補助制度を求める声が出ています。


岐阜県の取り組み


世界遺産の白川郷、名湯の下呂温泉など豊富な観光資源に恵まれた岐阜県。
耐震対策緊急促進事業が進まない中、岐阜県では2016年の新年度から1981年以前の古い建築基準で建てられたホテルや旅館、病院などの大規模建築物の耐震改修費補助を拡充することを決定しました。
ホテルや旅館には多くの宿泊客がいることに加え、災害時には避難者の一時受け入れ施設となるため、耐震化を重要視した対策を打ち出したのです。

補助を受けられるのは1981年の建築基準法改正以前に建てられた一定規模以上の建物であり、かつ2013年の耐震改修促進法改正に基づいて耐震診断を受け、その結果を県か市町村に提出していることが条件です。
現行では国や市町村負担分を合わせて最大約45%の補助率ですが、これを約66%まで引き上げて各事業主に耐震改修を促します。

この取り組みの対象となるのは岐阜県内にある26棟のホテル、旅館、病院などです。
県の聞き取り調査によると半数以上の建物の耐震性が不足しており、早急な対応が必要とされています。
しかし、それぞれの施設はただちに営業を止めることも難しく、営業しながら改修工事を行わなければなりません。
このため、工事が長期化して費用が膨らんでしまう可能性が高く、業界団体からは補助拡充を求める声が多く寄せられていました。

岐阜県は新たな制度により耐震改修のスピードが上がると期待しており、今後も耐震改修を促す活動を行っていくとしています。


大規模建築物の耐震化は重要

大規模建築物の耐震化は重要


ホテルや病院などの大規模建築物の役目をよく考えてみると、耐震化の重要性が分かります。

多数の人がひしめき合っている大規模建築物が倒壊してしまえばどれだけ大きな被害が出るか想像に難しくはありません。

また、倒壊によって避難所として機能しなくなる点も危惧しなくてはなりません。


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