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「清水次郎長の生家」プロジェクトから耐震性能について考える

「清水次郎長の生家」プロジェクトから耐震性能について考える

国の約200社の工務店からなる、2020年までに耐震住宅100%を目指す「耐震住宅100%実行委員会」は、2014年9~12月に「あなたの残したい建物コンテスト」を開催し改修する建物を決めました。

全国からあった420件の応募のなかから、8件を厳選し、最終的にFacebook上での一般投票を経て対象に選ばれたのが「清水次郎長の生家」です。

今回はこのプロジェクトでも行われた、現在の国の耐震診断などについてご紹介します。


耐震住宅100%実行委員会


日本の耐震基準は、大地震の度に改正されてきました。
特に1981年に行われた改正後の耐震基準を新耐震基準、1981年以前の耐震基準を旧耐震基準と呼んでいます。
日本の旧耐震住宅は1,250万戸で、そのうち木造住宅は1,000万戸あります。
その1,000万戸に住んでいる人はおよそ2,000万人。大地震が起これば、そのうちの90%は、家の倒壊による圧死する危険があると言われています。

これは、日本の全人口の7人に1人が被害をうける計算です。
早急に対応するためには、建て替えをするだけでなく、耐震改修もしなくてはなりません。
清水次郎長の生家改修工事プロジェクトは、こうした思いから始まりました。


耐震診断とは


すでにお伝えしたように、1981年に行われた改正後の耐震基準を新耐震基準、それ以前のものを旧耐震基準と呼びます。
過去の大きな地震においても、新耐震基準の建築物は軽微な被害に留まるなど、一定の成果を示しました。
耐震基準とは、この旧耐震基準の建築物が、新耐震基準の建築物と比べてどの程度の強度を持つのかを調べるものです。

新耐震基準では、大地震時に必要な「保有水平耐力」を建物が持っているかどうかを検討するように規定しています。
一方、旧耐震基準で建てられた建物ではそのような規定はなく、「保有水平耐力」による耐震性の検討を行うことができません。
このため、耐震診断では、建物の強度や粘り、形状や経年状況を考慮した耐震指標(Is値)を計算します。

過去の地震被害の研究からIs値は0.6以上であれば安全と判定されます。
Is値が0.6以上であれば、地震の震動及び衝撃に対し倒壊し、又は崩壊する危険性が低いと評価されます。


耐震診断の方法


・1次調査の内容
耐震診断は、設計図書などで建物の概要や増改築の有無を確認した後に、現地調査をすることから始まります。
現地調査では、目視にて外観の劣化や建物内部のコンクリート面等、ひびや剥離がないかどうか、主要構造部材等が図面と一致しているかどうかを調査します。
コンクリートの試験も行い、建物のコンクリート壁面からコアを採取して圧縮強度試験や中性化試験を行い、耐震診断の計算に必要なコンクリートの圧縮強度や中性化の値を測定しなければなりません。

鉄筋コンクリート造の建物の場合には、コンクリート中の鉄筋が錆びるとコンクリートのひび割れや剥落の原因となります。
こうしたコンクリートの劣化程度を知るために、中性化試験を行います。

・2次調査の内容
耐震診断では、最初にどのレベルの調査を行うかを決めますが、状況によっては2次調査まで行うことがあります。
2次調査では、1次調査の内容に加えてより詳細な調査を行っています。

建物が構造上いくつかのブロックに分かれている場合は、ブロックごとに外観調査を行います。
2次診断では、コンクリートのひび割れ計算や不同沈下の調査、エキスパンジョイントの調査等を行います。


耐震改修とは

耐震改修とは


建物の外部や内部の壁、柱の性能を向上させ、建物の耐震性能を高める方法を耐震補強と呼びます。

耐震改修は耐震診断の結果に基づいて、最適な方法を選択します。
耐震改修の内容は、耐震診断の結果に基づいて決定されますが、単純に築年数の経った建物が大掛かりな改修が必要というわけではありません。

新築時の工事を丁寧に行っているかどうかや、メンテナンスをしっかり行ってきたかによっても変わります。
また、その建物に耐震改修後何年住むかによって耐震改修の目標設定も変わり、更に今後永く住み続けるために、設備や間取りの見直しを行う場合もあります。


免振補強と制震補強


耐震補強が地震力に対して、建物の強度および変形性能を高めるのに対して、免振性能や制震性能を高めるための耐震補強を行う場合があります。

免振補強とは、地震の強い揺れをゆっくりとした揺れに換えてしまうもので、免振装置の設置が必要になります。
しかし、基本的に免振装置を設置したフロアより上の部分の補強は不要になるというメリットがあるのです。

一方制震補強とは、単純な耐震補強と異なり、建物の構造の内部にオイルダンパーなどの装置を組み込むことにより、建物の揺れを低減する方法です。

遠くない未来に起こるかもしれないと言われる大地震に備えて、現在国中の建物が上記のような診断や改修工事を必要といっても過言ではありません。


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